春先や初夏に見つかる小さな蜂の巣。見た目は無害そうでも、放置すれば短期間で数百匹に増え、刺されるリスクが急激に高まります。

「自分で駆除できるの?」「業者に依頼したら費用はいくら?」と疑問に思う方も多いでしょう。

本記事では、小さい蜂の巣でも危険な理由と初期段階での安全な駆除方法など、わかりやすく解説します。

1.小さい初期巣でも危険な理由

初期段階の小さい蜂の巣でも危険な理由は2つあります。

  • 働き蜂がいる可能性が高いから
  • 攻撃性が増す時期だから

1-1.働き蜂がいる可能性が高いから

初期の小さな巣でも、女王蜂だけでなく数匹の働き蜂が存在する可能性があります。巣を守ろうとして人に襲いかかることがあり、刺されるリスクがあります。

さらに、1〜2週間という短期間で働き蜂の数は急激に増加します。巣が小さいからといって放置すると、あっという間に駆除が困難な状態になってしまうのです。

1-2.攻撃性が増す時期だから

巣が拡大するにつれて働き蜂が急速に増え、夏以降は非常に攻撃的になります。働き蜂たちは外敵への警戒を強め、物音や人の気配にも敏感に反応します。

近づいただけで集団で襲いかかってくるケースもあり、刺されると強い痛みや腫れを引き起こし、場合によってはアナフィラキシーショックなど命に関わる危険もあります。

2.放置するとどうなる?蜂の巣が大きくなるスピード

ここでは、主にスズメバチやアシナガバチを例に巣の成長過程とそのスピードを時期別に解説します。

2-1.【4月〜5月】女王蜂が蜂の巣を作りはじめる

ミツバチを除くスズメバチやアシナガバチの女王蜂は、冬眠から目覚めると4~5月頃に産卵のための巣作りを始めます。この時期は冬眠明けで活動がまだ活発ではないため、刺激しない限り人を襲うことはほとんどありません。巣の大きさも2~6㎝程度と小規模です。

  • スズメバチの巣:4~6㎝程度
  • アシナガバチの巣:2〜4㎝程度

2-2.【6〜7月】働き蜂の活動が増え、攻撃性が高まる

6〜7月になると働き蜂が羽化し始め、巣の規模は急速に拡大します。スズメバチの巣の直径は10〜15㎝ほどになり、個体数も一気に増加。巣を守るため、人間を外敵と見なして威嚇や攻撃を行うようになります。
この時期からは、うっかり近づくだけでも刺される危険があるため注意が必要です。

  • スズメバチの巣:10〜15㎝程度
  • アシナガバチの巣:10㎝程度

2-3.【8月〜10月】活動ピークで最も危険な時期

8〜10月は蜂の活動がピークを迎える季節です。個体数は数百匹を超え、巣の直径も一年のなかで一番大きく成長します。攻撃性が非常に強く、物音や人の気配だけでも集団で襲いかかってくるケースがあります。
刺されると強い痛みや腫れだけでなく、アナフィラキシーショックの危険もあり、最も注意が必要な時期です。

  • スズメバチの巣:30cm程度
  • アシナガバチの巣:15㎝程度

2-4.【11月~】巣から蜂がいなくなる

アシナガバチやスズメバチは11月を過ぎると、女王蜂を除くほとんどの個体は寿命を迎え、巣の中は空になります。
しかし、中には遅れて羽化した蜂が残っている場合もあり、安全とは言い切れません。

さらに、空になった巣を放置すると翌年また同じ場所に巣を作られる可能性があります。そのため、蜂がいなくなったからと安心せず、必ず巣を撤去することが大切です。

一方、ミツバチは女王蜂だけでなく働き蜂も越冬できます。巣の中で過ごすため、冬でもミツバチの巣を刺激するのは大変危険です。

3.初期巣の安全な駆除方法

蜂の巣がまだ小さい初期段階であれば危険性は比較的低いものの、見た目に小さいからといって安心はできません。小さな巣でも数匹の働き蜂が存在する場合があり、刺激すると攻撃を受けるリスクがあります。また、巣の場所が高所や狭い隙間であることも多く、自力で駆除する際には転倒や落下の危険も伴います。

そのため、安全かつ確実に駆除するには、経験と専用の防護用具を持つ専門業者に依頼することが最も安心です。以下では、自力で駆除した場合に伴う具体的なリスクも紹介します。

4.自力で駆除した場合に伴うリスク

以下では、自力で駆除した場合に伴うリスクを3つ解説します。

  • 刺される危険性がある
  • 大けがをする恐れがある
  • 駆除しきれない可能性がある

4-1.刺される危険性がある

蜂に刺されることで発症する「アナフィラキシーショック」は最悪の場合、命を落とすこともある非常に危険なアレルギー反応です。アナフィラキシーは全身の蕁麻疹やかゆみなど皮膚症状に加え、息が苦しくなるなど呼吸困難、腹痛・嘔吐・下痢など、その症状は多岐にわたります。

また、蜂毒は刺されてから15分以内に発症し、症状が出てから心停止までの時間は15分という報告もあり、速やかな治療が必要とされています。また、ハチに刺されたのが1回目であってもアナフィラキシーをきたすことはありますので「初回だから大丈夫」ではないことも覚えておきましょう。

蜂毒は反応時間が早く、蜂に刺されてからその多くは約15分以内には症状が出てきます。症状が早くあらわれるほど重症になることが多く、場合によってはアナフィラキシーショックを起こします。さらに、アナフィラキシーの症状が出てから心停止までの時間は15分という報告があり、速やかな治療が必要です。

医療機関から離れた山間部などで蜂刺されにあった場合は、救急車の到着までに時間がかかることが多く、アナフィラキシーショックにより命を落とすリスクがさらに高まるため、対策が重要です。

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4-2.大けがをする恐れがある

蜂の巣は雨風を凌げる場所に作られることが多く、軒下や屋根の隙間・高木の枝先・天井裏など、高所での作業が避けられないケースも少なくありません。こうした場所では脚立やはしごを使用する必要がありますが、その際に転倒や落下といった事故が起きる危険があります。

最悪の場合、命を落とすリスクもありますし、四肢に麻痺が残るなど日常生活に長期的な支障をきたすような大けがにつながる恐れもあります。

4-3.駆除しきれない可能性がある

蜂の巣を完全に駆除するには、働き蜂だけでなく女王蜂を確実に駆除する必要があります。女王蜂が生き残っていると、巣を一時的に取り除いても再び同じ場所や近くに巣を作ることがあります。そのため、自力で駆除すると女王蜂を取り逃がし、結果的に被害が長引く可能性があります。

5.蜂の巣駆除の費用相場と決まり方

自力での駆除は刺される危険性や高所作業による転倒・落下のリスク、再び同じ場所や近くに巣を作られる可能性が潜んでいます。そのため、小さい初期巣であっても専門業者に依頼することを強く推奨します。費用がかかってしまうといったデメリットはあるものの、安全かつ徹底的な駆除は、専門業者に任せるべきです。

しかし、「実際に蜂の巣駆除費用相場が気になる..」という方もいるかと思います。ここでは、蜂の巣駆除の費用相場と決まり方を解説していきます。

5-1.蜂の巣駆除にかかる費用相場

駆除業者から算出した費用相場を以下にまとめました。

蜂の種類駆除料金
アシナガバチ10,000円~30,000円
ミツバチ20,000円~60,000円
スズメバチ20,000円~60,000円
オオスズメバチ30,000円~70,000円

表のように同じ種類でも価格に振れ幅があります。その理由は巣の大きさや巣がある場所によって、駆除の難易度や危険度が変わってくるためです。さらに、付帯工事の必要があれば追加費用がかかってしまうことも忘れてはいけません。

5-2.蜂の巣の駆除費用はどう決まる?

蜂の巣駆除料金は、主に次の3つの要素によって変動します。

  • 蜂の種類
  • 巣の大きさ
  • 巣の場所

基本的には蜂の種類ごとに料金を設定している業者が多いです。また、巣の大きさや巣の場所によっても料金が変動します。

5-2-1.蜂の種類

同じ大きさの巣であっても、蜂の種類によって駆除の難易度や危険性が大きく異なります。スズメバチは攻撃性が強く刺傷被害のリスクも高いため、専門業者でも安全対策が必要となり、駆除費用が高めに設定されることがあります。また、ミツバチは巣に多数の個体がいるほか、巣内のはちみつや巣材の処理も伴うため、作業工程が増えて費用が高くなる傾向があります。

5-2-2.巣の大きさ

巣の大きさに比例して駆除の危険度や難易度が増していきます。小さな初期段階の巣は働き蜂の数も少ないので、危険度も低く、費用も安く抑えられます。逆に大きな巣ですと、駆除作業が困難になるので追加費用が発生することもあります。

5-2-3.巣の場所

スズメバチの巣

巣が高所にある場合は、はしごや高所作業車を使用する必要があり、転落などのリスクが高まるため、駆除費用も上がる傾向にあります。また、屋根裏や床下に巣が作られた場合は、巣に到達するために建材の一部を取り外すなど追加作業が必要になることがあり、その分の費用が発生するケースもあります。

6.蜂の巣駆除の費用を抑えるコツ

これまで解説したとおり、蜂の種類や巣の大きさ・巣の場所などの条件によって費用も大きく変動します。場合によっては思わぬ出費になる可能性も。そこで、この章では少しでも費用を安く抑えるコツを紹介します。

  • 行政に依頼する
  • 巣が小さいうちに駆除する
  • 相見積もりをとる

6-1.行政に依頼する

一部地域では、駆除費用を全額または一部を自治体が負担してくれるケースがあります。また、駆除用具の貸出しや指定業者の紹介など、負担を軽くする支援をしている自治体もあります。以下の表には、無料で駆除対応している自治体や、費用の一部を補助している自治体を含めています。

自治体駆除対象対応内容
東京都世田谷区スズメバチ無料駆除
神奈川県厚木市スズメバチ無料駆除
埼玉県さいたま市スズメバチ無料駆除
千葉県松戸市スズメバチ
アシナガバチ
無料駆除
栃木県小山市スズメバチ費用の1/2
(上限5,000円)
茨城県日立市要問合せ無料駆除
群馬県館林市スズメバチ無料駆除

各自治体ごとに対象期間や条件が設けられている場合があります。必ず自治体の公式ホームページで最新の情報をご確認ください。

6-2.巣が小さいうちに駆除する

小さな蜂の巣であっても、業者の基本料金は変わりません。ただし、追加料金が発生しない分、結果的に費用が安くなる場合があります。

高所作業などの特殊作業がなく、繁忙期を避ければ、10,000~25,000円程度で依頼できるケースもあります。

6-3.相見積もりをとる

蜂の巣の駆除は被害拡大を防ぐため、できるだけ早めの対応が望まれます。しかし、慌てて1社に依頼すると、作業完了後に提示される費用が必ずしも相場に沿っているとは限りません。実際に、相場より高額な費用を請求されるケースもあります。

こうしたトラブルを避けるためには、複数の専門業者から見積もりを取ることが有効です。基本料金や追加費用の条件は業者によって異なるのが一般的であり、比較することで適正な価格を判断しやすくなります。目安としては、少なくとも3社程度に見積もりを依頼すると安心です。

7.まとめ

春先や初夏に見つかる小さな蜂の巣は、一見無害に見えても危険性があります。放置すると短期間で巣や働き蜂の数が増え、刺されるリスクが急激に高まります。自力で駆除することもできますが、刺される危険や高所での事故、駆除しきれず再び巣を作られる可能性など、多くのリスクが伴います。

そのため、安全かつ確実に駆除するには、専門業者への依頼が最も安心です。早めの対応が、費用やリスクを抑えるポイントになります。